読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

COLORS

桜の花がちらほらと咲き始めた。
大半はまだ蕾がふくらもうとしているところ。
いつもなら、桜が咲いた!と、ちょっとした感激があるのだけど、
あぁ、桜か。。
と、物憂げにつぶやきかけて、その時、ふと、気がついた。
このところずっと、私の目には何を見てもモノクロームにしか
映っていなかったということを。
視覚という意味では、色を捉えている。
でも、私の意識の中では全てがモノクロになっていた。
冬から春に向かう頃、中でも桜が咲こうとしていくこの時期、
大地から芽吹くためのエネルギーを感じるこの時期、
木の幹はもとより、枝の末端にいたるまで、芽吹くための
そして、花を咲かせるためのエネルギーで満たされていて
膨張しているような感じを楽しむのが好き。
いったん花が咲けば、そこから優美なエネルギーが
ゆるやかに降り注ぐこの季節。

一年の中で、私が一番好きな季節なのに。
一番好きな季節なのに。
私の目には全てがモノクロームに映っていた。
ちらほらと咲き始めた桜の花を見ても、
私の中ではすっかり散り果てたようにしか見えず、
あぁ、一番好きな季節なのに、
と、声に出さずつぶやく。

気がついたら「サウダージ」を歌うでもなく、つぶやくでもなく
口にしていた。
これから咲こうとしている桜並木にいるのに、私の中では、
八割がた散ってしまい、はらり、はらりと花びらが舞っている。

一番好きな季節なのに。
私はどこかでひとり、取り残されたまま、
なすすべもなく立ち尽くしている。