色、戒

ラスト、コーション」をTOHOシネマスなんばにて見てまいりました。

観るまで「ラスト、コーション」は、「Last, Caution」、つまり、最終警告みたいな意味合いのものかと思ってました。
でも、「Last」じゃなくて欲望とか性欲を意味する「Lust」やったんですね。
中国語では「色・戒」というタイトルなので、これだと間違うことはなかったのだけど、カタカナで音だけだと分かりにくいですな。

中国語で"Lust"は、仏教用語の"欲情"、"Caution"は、"戒め"なんだとか。
"戒"は、指輪のことを"戒指"と中国語で言うそうで、"誓い"という意味も含むらしい。"色"というのは"性"を意味したりするわけですが、"性"って生きる上で欠かせないもの。
ラスト、コーション」という響きだけでは感じ得なかったことが中国語や英語での表記を見ることで、深みを感じたのでした。
セックス・シーンがどうとかこうとかって言われてる映画ですけど、よくよく確かめてみたらR-18指定だったんで、成人映画ですわなぁ。

でも、エロい映画だとニタつきながら見ることができるストーリーじゃないです。
どこか非情で、かつ、死と隣り合わせの香りがして、ふと気付くと身体を硬くして見ている自分がおりました。

日本占領下の上海が舞台で、戦時中のこととはいえ、抗日派の大学生が夏休みの間、まるで合宿をするかのように要人の暗殺計画を実行しようとしている姿に、若さとはいえ、幼さが勝ってる。。と驚いてしまった。でも、本気なんですね。学生の合宿が時を経て、本物の特命に変わっていく。


主役のタン・ウェイの化け方が素晴らしかったです。
お化粧せず地味な服だと少女みたいなのに、ひとたびお化粧して洋服も着替えるとマダムに変身してしまう。しかも、とても品があるんです。
刷毛のついた香水をつけるシーンとか、映画だから匂わないはずだけどなんだか香りがしてきそうでした。

ストーリーそのものは、心理的な駆け引きの連続で、観ながら、ホンマにそこに愛はあったんやろかか?
と考えさせられてしまった。
ハッピーエンドなわけないし。
ちょっと、いや、かなり重厚な映画でした。