あの夏の花火

会社帰りに最寄り駅から自宅までにある公園で、中学生か高校生と覚しき女の子たちが花火に興じていた。
たまたま手持ち花火じゃなくて、連続花火をやっているところに出くわしたので何やら学生時代を思い出してしまった。

学生時代に所属していた音楽サークルでは、9月初旬に「夏合宿」なるものがあった。
合宿中と合宿後にコンサートをやるから、
「起きて朝飯食ったら練習、昼飯食ったら練習、 晩飯食ったら練習、練習が終わったら風呂入って寝る」
という毎日がひたすら続く合宿。
合宿の最後に花火大会があって、合宿に参加しない4回生が 花火を差し入れする、という習慣があった。

最初のうちは皆、おとなしく手持ち花火などをして、 連続花火やロケット花火も正しく地面に差し込んで点火を して楽しんでいるのだけど、そのうちに連続花火を肩にのせて走ったり、ロケット花火を手に持って発射させる輩が出てくるのがお決まりだった。
そんなことをするヤツは男なんだけど、2回生の時、私もやってみたくなって、誘ってもらったのだか、自分からやったのだか記憶にないけど、気がついたら火のついた連続花火を肩に担いで広場を走っていたのだった。それはもう、何とも言い難い快感だった。

背中で自分の担いでいる花火が打ち上がっているのを感じながら走るなんて、
冷静になって考えれば、かなりの危険行為で、絶対に真似したらアカン。でも、あの時の私は、何にも代え難い快感を得たのだった。思い出すだけでも興奮するもんなー。

「Emmery!! お前、何やっとんじゃぁ、女のクセにぃ!!」
と、先輩(♂)に怒られたり、逆に
「Emmeryのやりそうなことやで。。」
と呆れられたり。
もう、花火と共に私の理性はぶっ飛んでたのだった。

翌年、私のその姿を覚えていた先輩が
「お前のために特別に買ってきたったでー」
と嬉しそうに渡してくれたのは、何連発だったか忘れたけど、 当時としてはかなり回数の多い連発花火だったと記憶している。
それをわざわざ私の為に買ってきてくれたんである。
先輩もたいがいスキモノやな(笑)
喜び勇んで火のついた花火を担いで走り回る私をみて先輩達は、
「あいつマジでアホやで」
と笑っていたのを私は知っている。
でも、そんなこと気にならないくらい快感やった。
花火が終わったら、身体中が火薬臭くなったのには閉口したけど花火を持たせたら危険人物になるヤツって、私のことさっ

自分が4回生の時は、諸事情で私も合宿に参加したのだけど、花火は通常通り4回生から差入れをすることにして、松屋町まで仕入れに行ったのも懐かしい思い出でございます。同じ学年のヤローどもが、「任せた」の一言で逃げよったんで、女子二人で買いに行って、箱一杯に詰まった花火を
「なんでひ弱な私が運ばなアカンのぉ〜」
とボヤキながら、文字通り担いで行ったんだった。
箱一杯の花火って、本気で危険物なので、取り扱いには本当に注意してたけど、途中でいろいろと言われましたな。

花火大会の時は、秘かにつきあっているカップルたちが浮かび上がるというイベントでもあったのだけど、私にはそんな甘い話があるわけなく、ひたすら弾けきったバカやっておったのです。
常日頃の私は生真面目なので、まぁ、その落差が激しいというか。
でも、あんな風にオバカになれたのは良かったなぁ、と今となっては思う。
当時、迷惑をかけまくった皆さん(特に同じ回生の仲間たち)には「ごめんなさ〜いm(_ _)m」なんだけど。

花火大会の翌日は、もちろん花火の片づけをやる訳ですが、真っ先に
「Emmery、お前、花火の後かたづけな。」
って、毎年言われておりましたっけ。。。
まぁ、夏合宿といえば、花火以外にもアンナコトやコンナコトなどなど、いろんなことがありまして(爆)今でも語りぐさの話がいろいろございます。

あの弾けきってた時代は貴重やなぁ。。
あんなオバカなことは、今はきっとできないな。
とか書きつつ、学生時代の仲間が集まったらお調子者の私は率先して
「30過ぎてもアホやのぉ」
と、いわれてそうだが

何はともあれ、学生卒業後に知り合った人たちにはきっと、想像もつかない私の姿でございますよ(爆)