ショートバス

シネマート心斎橋で「ショートバス」を見てきました。
後から見た「SiCKO」のレビューを先にアップしたけど、こちらがなんと、半年ぶりの映画鑑賞の作品です。
1ヶ月に1本は映画館で見るのを目標にしていたのに、3月頭の「幸せのちから」以降、映画を見たいという思いがあっても見に行く気力が失せてしまってました。
そして、久しぶりに見に行った、というか、見に行こうと思って実際に映画館に足を運んだのが「ショートバス」という映画であるあたり、とっても私らしいですね。

ショートバス」は、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を手掛けたジョン・キャメロン・ミッチェル監督の作品です。

2年間かけて資金を調達。その間にオーディションでキャストを選び、およそ2年半にも及ぶワークショップを開催
全シーンのオーガズムが本物

ということで、

R-18指定の作品でセックス描写が多いことで話題になってますけど、ポルノじゃないですね。ムフフ・・な思いで見に行ったら後悔します。
日本で公開するためにボカシが入ったのは仕方ないですけど、ボカシが入ることで逆に卑猥さを醸し出したのでは?と思う部分もありました。
特に冒頭のマスターベーションのシーンなんかね。
海外ではあのシーンを見て、ムフフ・・な期待で見に来た人は、見るのを止めた人もいるという衝撃シーンなんですが。

エクスタシーを体験したことがないセックスセラピスト
孤独なSMの女王様
ハンサムだけどパートナーを受け入れられないゲイ
それを覗くストーカー

皆それぞれ、うまくやっているようで傷を抱えている。
セックスのシーンのほとんどは、快楽のためというよりも、それぞれの傷を浮かび上がらせるための仕掛けみたいだった。

それを包み込むのがサロン「ショートバス
ドラァグ・クイーンでホステスのジャスティンがなかなか素敵です。

それぞれの性行為のバックグラウンドにある傷の存在は、私自身の過去の体験なんかも思い出されて、自分の姿もそこにいるような気がして
私も「ショートバス」に行ってみたいって思いました。
そして、「アンタはどうなの?」って、ずっと問われているような気がして、見ていて、なんだか心がヒリヒリと痛い映画でした。
でも、映画の根底にずっとあるのは「あなたは一人じゃない」というメッセージ。
それにずいぶんと救われました。

英語も結構面白かったですよ。
シモネタって、教材じゃ学べないですからね。
「何の仕事(job)探してるの?えっ、hand-job?」
のくだりは、特に大爆笑してしまいました。(なんでおかしいのかは、映画を見たら分かります。)

個人的には、エクスタシーを体験したことがないセックスセラピストのソフィーに一番共感したかもしれない。他人の悩みは解決できても、自分の悩みを自分で解決できない。彼女は、エクスタシーを体験するために、すっごく努力するのだけど、その姿は見ていてかなり痛々しかった。
バイブを使ってみたり、背景を知らなければポルノ的かもしれないけど、
そ、それじゃ、イキませんって。。みたいな。
でも、本人はとっても必死なのよね。

まぁ、映画はいろいろ、本当にいろいろありまして、生きることについて考えさせられます。

最後の歌「IN THE END」の詞に泣けそうになりました。
ジャスティンが朗々と歌い上げている様に、な、涙が。。と思ったら、
ただのお涙頂戴にしたてあげないわよ、と、ばかりに
ホーンズが入ってきて陽気な調子になったのが粋な感じでした。

We all bear the scars,          誰もが傷の痛みに耐えてる
Yes, we all feign a laugh         そうよ 笑顔を作ってる
We all sigh in the dark,          暗闇で ため息ついて
get cut off before we start        独りになってから舞台へ
And as the first act begins,        第一幕が始まる頃
you realize the're all waiting       もう観客は待ってる
For a fall for a flaw, for the end     あなたの失敗やトチリを、そしてラストを
There is a path stainded with tears,  涙の染みついた道で
could you talk to quiet my fears?    私のおそれを鎮めてほしい
Could you pull me aside,         ちょっと私を脇に呼んで
just to acknowledge that I've tried?  よく頑張ったと ほめてほしい
And as our last breath begins      命の終わる時、
contently take it in            満足して息が引き取れるように
Because we all get it in the end    人は皆 いつか死ぬのだから
And as your breath begins        人は臨終の床で気づく
you find your demons's your best friend  心の悪魔こそ最良の友と
And we all get it in the end        最後には そうと知る いつか・・・