無人島に一枚

内田センセの「無人島レコード」を読んで思わず反応してしまったこと。


『無人島レコード』とは、「無人島に持ってゆくとしたらどんなCDを
持ってゆきますか?一枚だけ選んでください」という趣旨のアンケートで、
無人島に電源があるのかよ、というようなツッコミはなしだけど、
「ルールは厳守だが、法の網をかいくぐる反則技はあり」なんだとか。

大瀧詠一さんが、レコードではなく、『ビルボード』のチャートとチャートイン
したアーティストごとにシングルのデータをまとめたもの「レコード・リサーチ」
という書物を選び、「62年くらいから69年ぐらいまでのチャートがあれば、
全曲思い出して、次から次へと出てくるヒットチャートをアタマの中で鳴らしな
がら一生暮らす」と書いておられるらしい。

それはスゴイ。
ただ、私のような若輩者はこれからの余生をそんな風に過ごすのは
キツイものがあると思ったりするのも事実。
でも、細胞に染みこんでいる音楽というのはあると思う。

「細胞に染みこんでいる音楽」の話も面白いと思ったけど、今回は
その話はおいといて、私がもし、
「無人島に持ってゆくとしたら。。」
という質問を受けたとしたら、あんまり迷わないで
大江千里の「APOLLO
って答えると思う。

いつ帰るとも決めずアメリカに渡った時、100枚以上あるCDの中から
私はたった2枚しか持って行かなかった。
その2枚のうちの1枚が「APOLLO
そのとき「APOLLO」を選んだ理由はよく分からない。
千里さんのアルバムは当時すでに何枚も持ってたし、好きなアルバムは
「1234」だった。
私がアメリカに渡ったのは1995年で、「APOLLO」が発売になったのは
1990年だから発売になった時期もずれてるしね。
何が理由だったんだろう。

アルバムはともかく、千里さんは、私の原点と言える人。
クラシック以外のピアノの楽しさを知ったとか、
メガネ男子好きのキッカケとか。
私が自分の人生の中でターニングポイントを迎えた時、いつも
傍らにいたのは千里さんの歌だったしね。

アメリカに渡るのは、当時の私にとって、無人島に行くのと同じくらいの
決意だったから、今度、無人島に行くことになってもやっぱり、当時と
同じものを持って行くんだと思う。

「無人島に1枚だけ持って行けるなら何を?」
って問われたら、たいていの人はきっと悩むに悩んじゃうのでは?
と思うのだけど、どうなんでしょう。