「マイブームの塔」

みうらじゅん「マイブームの塔」を中古で買った。
正直言って、みうらじゅんの本を買おうとは思ってなかった。
でも、「お笑い虎の穴」について書かれているのを見つけた瞬間、
学生時代の思い出が甦って、思わず本を手にとって
レジに向かってしまったのだった。

そう、あれは大学2回生の時のこと。
文連カーニバルで、みうらじゅんと安藤肇のトークショーがあった。
本来なら練習時間だった土曜の午後に、サークルのメンバーが全員そろって、
今は無き学館ホールで彼らのトークショーを見ていたのだった。
多分、練習代わりに出席が必須だったと思われる。

トークショーでは、仏像のスライドを見ながら「見仏記」の話を聞いたり、
当時のみうら氏のマイブームのスライドを見たりした。
いやげもの」とかやってましたね。

一番強烈だったのは、「映画・お笑い虎の穴」
大阪にはお笑い虎の穴という地下組織があって、
そこに入れられている芸人たちはみな幼い頃、
お笑い虎の穴スカウトマン、ミスターXによって誘拐され、
日夜、ボケ・ツッコミを調教されている、という設定で、
主演は、ナイティナインの岡村隆史だった。
それはそれは、とんでもなくおかしいウルトラB級映画(15分程度)だった。
オープニングで画面いっぱいにパンツ一丁の若い芸人が声を揃えて
「えーかげんにせー!えーかげんにせー!」
と漫才のツッコミのポーズで行進しているのをみて
ハートをわしづかみにされた私。。
その後はラストまでウケにウケまくったのである。

トークショーが終わった後、興味深いことが起こった。
反応が大きく2つに別れたのだ。
すっごく笑えた、面白かった
というメンバーと
何が面白いのか分からなかった
と首をひねったメンバーに別れたのだ。
しかも、
面白かったと言ったメンバーは、全て関西人
何が面白いのか分からない、と答えたメンバーは非関西人だったのだ。

それを聞いて
「いやー、あの笑いのツボは関西人やあらへんな分からん。育ちが違うよってな。」
と、なぜか得意げな顔をしていた京都人(♂)に
「私、中部出身だけどあの笑いが分からなかった。私って関東系ってこと?」
と、ぼやく富山人(♀)
など、しばし、みうらじゅんの笑いが分かる、分からない、
と出身地の相関関係についてサークル内で議論があったのだった。
(ちょっと大げさ)

「マイブームの塔」を読んで、映画作成の裏側の話やあらすじなどを
改めて読めて
こんなにくっだらねー内容やってんなー
って思いました。
私は大好きやけど。

本そのものは「関西」ブームをテーマに書かれていて
みうら氏のなみなみならぬ関西への愛が感じられます。
血中関西人濃度が高い人は文句なく楽しめると思います。
非関西人でも関西に憧れる人なら面白いかも?