屈折と劣等感な14回目

先日、久しぶりにお見合いをした。
通算14回(!)のお見合いであった。
(そういえば、去年やった13回目のお見合いの話はアップしなかったな。。)
これまでお見合いがイヤでイヤで仕方なかったけれど、
もう、そんなことは言ってはおれないというか、
お見合いも出会いの一つとポジティブに考えることができるようになったは
良いけれど、35歳の壁は思いの外、分厚く手強く、釣書の段階で断られることが連続で何度も続き、やっと会うところまでこぎ着けたのでした。

しかも、珍しいことに年齢も一つしか違わず、見合い写真ほどあてにならないものはないけれど、写真で見ている限り、外見も悪くなく、音楽系の大学出身者だったので、話が合うのではないかとわずかながら期待していた。

実際に会ってみても、写真と大きく印象が違うこともなかったのだけど、
私の中のナニカが「この人じゃない」と言った。
ホテルの喫茶室でお見合いおばさんとおみぃくんが話してるのを
他人事のように眺めてる自分に気付いた。
「この人じゃない」と思ったせいか、気持ちがソッポを向いていた。

イカンイカン、最初に判断するんじゃなくて、そこからどこまで歩み寄れるかやってみようと思って今回は来たんじゃない。
今回の自分の中での意気込み?を思い出して、おみぃくんの方を向き、
言葉は悪いけど人物スキャン・モードに入る。
お見合いおばさんを交えた会話の反応に「???」と感じる部分があり、
「???」と感じるたびに、私の中のナニカが
「超軽症だけど精神疾患があるかも?」
なんて感じのことを矢継ぎ早にささやく。
ちょっと?・・・いやいや、かなり変わった人やなぁ、という印象が
どんどん強くなる。ただ、音楽をやってきた人だから、その辺の覚悟?
はしていたから、どこまで合う部分があるか、お見合いおばさんが
いない場で確かめたいことがたくさんあった。

音楽の話をしたら盛り上がって共通点を見つけることができるのでは?
と思っていたのだけど、これがまた全然ダメ。
というのも今回のおみぃくんは音楽を仕事にしたくて
いろいろと頑張ってみたけど、うまくいかず、30歳になった時に
スッパリと諦めてしまったんだそうな。
その時に、楽器は趣味で演奏するのもやめてしまったらしい。
音楽もテレビで見聞きする程度、CDを買って聴くのも卒業したと。
おみぃくんは普通に話をしていたけれど、時折、屈折や劣等感といった
闇のようなものが開くのが、私の目の奥の方で見えた
10年以上追い続けた夢を諦めてから、代わりになるものを見つけてないんやわ、いや、それだけじゃない、諦めた挫折感が、まんま影になってる。。。

私も大学付属の音楽教室で一番の落ちこぼれだったから、分かる部分がある。
でも、私が今、それこそ純粋な趣味でハーモニカを習ったり、
ハモソで演奏したり、曲を書いて指揮をしたのが、ネガティブな刺激に
なってしまった様子。しかも私、おみぃくんの大学とは別の大学だけど、
大学付属の音楽教室に3歳から中学卒業まで通っていたとか、私の音楽のバックグラウンドが、更にネガティブに作用した感じ。
ハモソでアレンジした話なんて「それってボランティアで?」なんて
言われて、私は目を白黒させてしまった。。

おみぃくんの言動を見ていると、
多分、この人も片手で数え切れないくらいお見合いしてきたんやろな、
元からかなり変わった人だけど、これまでのお見合いでいろいろと
女の人からNGをつきつけられながら、学んだり傷ついたりしてきたんだろう、ということが安易に分かった。
頑張れば、ある程度の歩み寄りも可能かもしれないけど、結婚にはつながらないと思ったのだけど、初回でNGを全部確認しなくていい、そう思った。
ただ、おみぃくんが私をどんな風に感じているのかサッパリつかめなかった。
「話が盛り上がらない」=「気に入ってない」でもないのがお見合いというもの。

別れ際に
「えーと、これはお見合いだから、お互いに家に帰ったら今回お世話してくれた××さんにそれぞれ返事をすると。返事次第で、これで『さようなら』かもしれないし、また次会うかもしれない。」
みたいなことを言われた。
これまで、お見合いおばさんに報告して、というのがイヤだから
この場で返事を聞かせろと、駅の改札口で20分くらい粘られたことはあるけど、こんな風に言われたのは初めてだったので驚いた。
私も人のことは言えないけど、この人、間違いなく数え切れないくらいお見合いを重ねてきはったんやろなぁ。そう思ったから、
「私もお見合いは何度もしてきてるから、分かりますよ。」
と返すと、おみぃくんはその日一番ホッとしたというか、笑ったというか、
この人の素かしら?という顔で
「ご縁って難しいもんやね。」と言って、私が帰りに乗る電車の改札まで送ってくれた。

これまでなら、お見合いの後は憤懣やるかたなしというか殺伐とした気持ちで、何かしか気晴らしをしないと家に帰ることができなかったのだけど、今回はちょっとした理由で、その必要性が無くなったので、ちょこっとお買い物と言いつつ、ガッツリとHMVでCDをお買いあげして(十二分に気張らししてる?)帰宅したのでした。


家に帰って、おみぃくんはかなり難しい人であるということと、
私のことを気に入ったかどうか、さっぱり分からないということを
母にかいつまんで報告をしたところ、
「音楽やってた人で難しい人なのはよく分かるけど、音楽の話なんかで
話が合えば良しだけど」
といった感じで、なんとなく分かってくれた様子。
お見合いおばさんには、先方さんが良いと言ったらお願いしますと
伝えておいてもらえるようお願いしたけど、
「話が全然合わない」とお断りの連絡をいただいたのでした。

無駄に頑張る必要がなくなって、良かったのかもしれない。
と、どこかホッとしていたりなんかして。