紙切れ一枚

最近、母の機嫌が悪い。
なぜ機嫌が悪いのか、理由は分かっている。
それは、私が一枚の紙切れの記入をいつまでも放置しているからだ。

その紙切れとは、いわゆる結婚相談所の申込書だ。
「結婚するならどんな人としたいのか考えて記入しなさい」
と渡されたのだが、まるで、履歴書を持って就職活動をするかのごとく、結婚相手を探させようとする理由が分からない。
当たり前だが、書く気が起こらない為、放置してある。

書きたくない、と言えば良いじゃないか、と言われそうだけど、母が娘の結婚についてどれだけ悩み苦しんでいるかを父から聞かされているので、直接ぶちまけることができないでいる。

「早く書きなさい」
と急かされているのだが、
「あー」
と生返事だけ返し続けること2週間くらい?
さすがに猶予がなくなってきていることは実感している。
やりたくないことをするのは苦痛だ。
やりたくないことは、できない。
書くも地獄、書かないも地獄。

たかが紙切れ一枚のせいで、母も私も両方とも不幸な状態を生んでいるのが自分の態度のせいである、ということが一理あることは分かっていて、それでも母に対して強い態度に出ることができない、そんな自分に反吐が出る。