洪水と豊かさ

<Emmery Annexの過去ログ>

本日は印象に残った記事を。

アイシスラテール23号「藍色・復活」より

エジプトが世界四大文明のなかでも最も長く続いた理由、
それはナイル川の洪水のおかげだった。
エジプト人は、洪水が豊かさをもたらしていることをよく知っており、
決して過剰なコントロールをしよう、としなかった。
そのおかげで何千年にもわあたって土地が瘠せることなく、
つい最近まで豊かな収穫がある農業を続けることができたのだ。
ネイル側の洪水は3ヶ月以上も続いたが、その間、人々はパピルス船で自由にあちこちを行き交ったという。だが20世紀になってアスワンハイダムが造られ、エジプトでは土地の疲弊が問題になっている。

洪水と聞くと、自然災害だからできれば避けたいもの、洪水が起これば、これまで築いてきたものが押し流されたりして失ったり奪われたりするというマイナス・イメージがありましたので、実際は全くの逆で洪水が豊かさをもたらしているというのを知って驚きでした。

私たちが手を加えないところに起こる自然現象には、起こるなりの理由がきちんとあり、自然と調和して生きることが豊かさにつながるという世界観を昔の人たちは持っていたのですね。
それを技術が発達することで、自然もある程度コントロールできると思うようになり、人間がコントロールできないことを害と見なし、人造物をつくってコントロールできるようにしたまでは良いけれど、その裏で本来の豊かさが奪われているというのが何とも皮肉です。


寒くはなかったし、たいした雨でもなかったので傘をさすのが面倒で、雨に濡れながら「恵みの雨かな、浄化の雨かな」などと思いながら自転車に乗っていたせいか、自然と調和するのではなく、無理にコントロールすることは、私たち自身の生活も自然から切り離されひずみが生じていくことにつながるらしい、と感じた次第。

共振の月8日 KIN19/エネルギーをつりあわせる 青い律動の嵐