見合いの顛末(その6)

Kill Bill Vol.2を見たいんですけど、Kill Bill Vol.1は見ましたか」
「いや、見てないよ。」
「Vol.2はVol.1ほど流血シーンは無いらしいけど、エグイにはエグイと思うのですけど、大丈夫ですか?」
「(君が)見たいんだったら良いよ」

。。というような会話の後、予定通りKill Bill Vol.2を見に行くことになった。
しかし、相手はブルグもイーマも知らないんだなぁ。。
映画まで時間はまだまだあったけど、
先にチケットを購入しておこうとブルグへ。
座席に余裕あるだろうとタカをくくっていたら、
なんと残席6だったのだ。
しかもチケット購入を待つ人たちが長蛇の列を作っている。
ここまできてKill Bill Vol.2が見ることできないなんてやだーッ!!!
と、叫びそうになった。
すっかり見合いであることをわすれている私であった。
Kill Bill Vol.2でなきゃ、初めて会う見合い相手と
映画なんて行きたくはなかったし。

まだ映画開始まで時間があるから、きっと大丈夫に違いないと気を取り直して列に並ぶ。ところが予想を裏切って、モニターに映し出される数字は4になり2へと変わった。
こんなに長い時間かけて並んで売り切れだった場合は、
せっかく並んだのだから別の映画にしましょう、
ということで私は祈るような思いで順番を待った。
順番が来て、「Kill Bill Vol.2を2枚」と頼むと、
「一番前の列で、バラバラのお席しかご用意できませんが。。」
とのお返事。
今日は見合いだ。一人で見に来ている訳ではない。
でも、私は何がなんでもKill Bill Vol.2を見たい。
見合い相手よりKill Bill Vol.2だ。
とっさに私は見合い相手に向かって

「ごめんなさい。(バラバラの席でも)良いですか?」

と訴えてしまった。
私が本気で見たがっているのを解して
見合い相手は私の無理を了解してくれたのである。
まったく、見合いという意味では本末転倒な行為ではないか。
でも、私は自分の欲望に正直になったまでだ。

ちなみに、実際の上映中は私の隣の人が来なかった為、
並んで見たのだった。
神様は見合い相手に同情したらしい。
映画の間、私はすっかり夢中になって見ていたけど、
時々深い息が隣から聞こえてきて

あー、やっぱりエグイものを無理強いしてしまった。。

とやや反省した。