瀬戸の花嫁にはならない Again

それは、お盆で家にいた為に、常日頃ならとらない自宅の電話に出てしまったことに端を発する。

子どもの頃から知っていて、これまでに何度もお世話になったお見合いおばさんからの電話だった。
私を母と勘違いしたようで
「上のお嬢さん、まだ家にいてはりまっか?」
と、いきなり言われて、母に代わる前に本人として、それくらいの返事くらいはしようと
「私ですが、まだ結婚はしてません」
と答えたのだけど、「まだ結婚してません」しか耳に残ってなかったようで、私が母に代わろうするスキも与えず、一気にご自身が今、考えている縁談の話、家柄だの経歴だの、家族構成だの。。をされたのであった。

今回は高松の人らしい。
だいたいの事情が読めたところで、
「これじゃあきませんか?」
と尋ねられた。私が言い淀んでいると、更に話が続き、再度
「この話、あきませんやろか?」
と問われた。私が「あの・・その・・」状態になっていると
「風邪ひいてはりますの?いつもより声が低いですけど、奥さんでっしゃろ?」
と言われ、そこでやっと
「あの。。母ではなくて本人なのですが。。」と言えたのであった。
お見合いおばさんは、「本人さんなら話が早い」と、更に口撃。

「あなた47年生まれやったわねぇ。相手の人は40年生まれ。それくらい歳が離れてるほうが相手がしっかりしててエエでしょ。」
なんて言ってくれたのだけど、どんなに歳くってても、しっかりしてない人はしっかりしてないのは分かるので、電話口で「とほほ・・・(><)」状態。
「だいたい恋愛だったら歳がくっついてることが多いけど、歳が少しくらい離れてても(見合いだし、あなたの歳で未婚なら)辛抱できるでしょ?」
とまで言われた日には
「し、辛抱できるかって。。最初から辛抱せなあかん結婚なんかしたないわっ(><)」
であった。お見合いおばさんは、見合いをさせてナンボの商売ですから、それはそれは口撃してこられます。
私が幼い頃、まだ大阪市内に住んでいた時はご近所だった方で、よくよく知っている人であるがゆえ、失礼な口もきけない。
もう、高松まで行く(連れていく気?)マンマンであれやこれやと高松への行き方を話され、
「ほな、一緒に高松までバスに乗って行きましょ。お母さんも一緒にね」
とまで言われ、私はやや焦り気味で「えっと、それは。。」となっていた。

私が相手から頼まれてもいないのに高松に行く、というのは、向こうが私に会いたいと言って大阪にやってくる見合いに出るのとは訳がぜんっぜん違うのだ。
「この縁談を真剣に考えてます。その証明に私からあなたの元に出向きました」
てな具合である。口から適当な嘘はつけても、これはできない。

「長女だから地元から遠く離れるのはちょっと。。」
なんて、やんわりと高松は困るというのを匂わせたけど、そんなのじゃお見合いおばさんはひるまない。
「飛行機に乗ったら大阪になんてすぐ戻ってこれる。嫁に行ったって盆と正月は大阪に戻れる。」
だなんて、奉公しにいくんかいな。。
私があれやこれやと、やんわりとではあるけれど難癖をつけるので、
「高松に嫁にいくのはかなんって言うのなら仕方ない」
と言われ、
「・・高松へ嫁ぎたくないです。。やっぱり大阪の人の方が。。」
とお返事して、やっとあきらめてもらえたのでした。

とりあえず、無駄なお見合いをするのをとめられたのは良かったのかも。
とある化粧品の卸をやっているという話だったので、
「そこの化粧品は私の肌に合わないんです」
とでも言っておけば良かったかと後で思ったり。
実際、使ったことないし、使ってみたいとも思ったことない会社やったし。

そして何よりも、好きになった人が関西圏外の人ならいざ知らず、最初から四国、しかも、見合いで嫁に行くなんて、私にはあり得ない。。。