件のお見合いのこと。

やっぱり、この前のお見合いのことをちょっと書こうと思いました。
ケリはつきましたので、気持ちの整理も含めて。
このblogを始めたのもお見合いの顛末を書くのがキッカケだったし。
1回で書こうかと思ったけど、話の長い私のこと、やっぱり1回じゃ無理でした。
2回か3回で書こうかと思ってます。

では、まず1回目。

これまでに感じたことのないプレッシャーをかけられて迎えたお見合い当日、いろいろと仲人の指示があり、ウザイ、とにかくウザイ、と思いながら従った。
現場までの道のりで、母にあれこれ言われて私は頭にぶちぶちきていた。
私は「普通」じゃないから、「普通」にしろ、と言われたって「普通」って何?!

待ち合わせの時間に少し遅れて私たち母娘は到着した。
「本日はよろしくお願いいたします」
と頭を下げて、先方さんのお母さんはすぐ分かったけど、目の前にいる男性を見て、まだご本人は来ていないんだと思った。

お見合いもいろいろあって、母親がついてくる場合、仲人と本人だけの場合、親じゃなくて親戚がついてくる場合、その時々で異なる。
いつぞやは、訳のわからんおばさんが3人くらい連れてきた人もいた。
だから、目の前にいる男性はイトコかお兄さんか親類の誰かだと思ったのだ。
「先方さんは、いついらっしゃるのかしら?」
といった表情で悠然と微笑みながら私は仲人の隣に座って話を聞いていた。

お席ができましたのでどうぞ、と呼ばれて、私はその時、親戚の誰かかと思っていた男性が、今回のお相手であることを知った。
しゃ、写真と全然違う。。。違いすぎる。。
今時、見つけるのが難しいんじゃ?なオヤジくさいメガネに背広、ついでに頭も薄くなってて、分からないっていうの。

いきなり両家の母と仲人同伴で会食という、これまた緊張感溢れる場で当時、午前様な日が続く過酷な毎日から出た疲れと、緊張はしてるものの食事と一緒にでてきたアルコールで頭がぼんやりとしてた。仲人と母たちが話をするばっかりで、私と先方はほとんど話をする必要がなくぼんやりとしながらも、ただ悠然と微笑みだけうかべて食事をしていた。

食事が終わったところで、「二人でお茶でもなさい」みたいな感じで放り出された。二人きりにさせられる瞬間って、できの悪い芝居を見てる感じがして、いつも寒気がする。

梅田を歩きながら、私はどう出ようか見ていた。
私の勝手で振り回せる相手なのか、それとも従った方が良いのか。
普段は東京暮らしだから梅田でお茶といっても気の利いたところを知ってる訳がない。
目指す所があるのかないのか、ひたすら歩く先方さんの方向を見ながらあちらの方向にはあの店が、こちらに行けばあの店が、と、落ち着いてお茶ができるお店ナビが私の頭の中で稼働していたけれど、それはどうにもこうにも行き先がない!という最後の手段で出すことにして私は先方さんに2歩ほど後ろをついて従うことにした。
この並んで歩くでもなく2歩ほど離れて、しかも後ろを歩く、というのが、まぁ、微妙なバランスな訳でして。
ぽろぽろと話をしながら、私は相変わらず悠然と微笑みだけは絶やさなかったけど、先方の一挙手一投足を見逃すまいとしていて、微笑んではいたけれど、目は笑ってなかったと思う。

とりあえず、これまでの見合いでは自分の好き勝手をするようにしていたけれど、女の子をエスコートすることに不慣れな人にとって、私が「あそこに行きたい」「あれを見にいきたい」などと行って連れ回すのは逆に新鮮というか楽だったんじゃないかと思って、敢えて「気が利かない私」をやった。ただ、何も言わないでついていくだけ。お茶をしている時もわざと気を利かさなかった。
好感を持たれないように。

功を奏したのかよく分からないけど、1時間程度でお開きになって、これから東京に帰るって言われて、大阪駅の近くでさくっと帰られてしまった。
こんなにあっけないのは初めてだった。
緊張から解放されて、へなへなとその場に座り込みそうになってしまった。
多分、私のことは気に入らなかったはず、断られるはず、と安堵した。
でも、その裏で憤懣やるかたない思いが爆発しそうだった。
とても良いお天気だったので梅田からミナミにむかって歩いていった。
そのまま電車に乗って帰る気分ではなかった。
ただ歩いて歩いて歩き疲れるまで歩いたら気が少しでも休まるかと思った。
爆発しそうな思いは止まらず、梅田から天王寺くらいまで余裕で行きそうだったけど、難波でやめた。
普段はかないヒールでガンガン歩いたせいか、足の爪が割れてた。
でも、その痛みも感じられなかった。

途中で、ウィングフィールドに立ち寄って、カードと封筒をいくつか見繕った。
お日柄がよろしかったのか、周りは披露宴用のカード類をカスタマイズしにきたカップルがたくさんいて、なんとも複雑な気分だった。

結局、気分転換できたのだかできないんだか、な状態で電車に乗り家に向かいながら、どんどん気分が悪くなってきた。
アイヘイトミー! アイヘイトミー!
私の中で私が叫んでた。
胸の中をかきむしってどこかから飛び降りてしまいたい気分だった。
でも、自殺なんてしないよ、と、荒れ狂う私を冷ややかに見る別の私もいた。
そして全ての感情を背中に隠して平静を装う表面に表れている自分。
私の中で私が分裂して引き裂かれそうで気分が悪く、吐き気がした。
誰か私を助けてと、思った。でも、助けてくれる人はいない。
自分で自分を助けるより方法はなかった。

家に何とか辿り着き、「どうやった?」と尋ねる母に
「多分、先方は私をお気に召さなかったと思う」
とだけ言って自室へ。とかく、気分が悪くて仕方なかった。
自分の部屋に戻ると、涙がどっと溢れてきてしばらく泣いた。
「とにかく終わったんだから」と言い聞かせて気を取り直した。

でも、それで終わらなかったんである。
私の苦しみはこの後から本番を迎えたのでした。

と、いうところで1回目はおしまい。