ヘアスプレー

なんばパークスシネマで「ヘアスプレー」を見てきました。

ブロードウェーのミュージカルを映画化したものなので、歌と踊り満載で、見ていてハッピーになれる映画ですね。
でも、舞台が60年代のバルチモアなので、単純な歌と踊りの青春ミュージカルじゃなくて、人種差別などもテーマになっています。

主役のトレーシーは、おデブなんですけど、そんなことをこれっぽっちもコンプレックスに思っていなくて、とってもキュート。
そもそものオリジナルの映画を作ったジョン・ウォーターズ監督が
「トレーシー役は、ぽっちゃりじゃなく、太っている女の子じゃなきゃダメ」
と言ったらしいのですが、トレーシー役のニッキー・ブロンスキーは、この役を演じるために産まれてきたみたいな、なんともはまり役です。

ジョン・トラボルタが扮装してお母さん役をやってたのですが、トレーシーにそっくりで、本当に母娘。
お父さんもまたユーモラスで、こういう両親の元でのびのび育つと、あんな風になるのかな、なんて。
トレーシーの親友のペニーがまた、可愛かったです。いつもチュッパチャップスをなめてるの。

黒人側の出演者も素敵でした。
特に「ブラック・デー」のホステス役のメイベルは、歌姫であり、子どもたちの母親であり、黒人コミュニティで一目置かれている存在であり社会に対する問題意識と先頭立って歩いていく迫力っていうんですか、しなやかだけど力強くて、本当に素敵でした。

ストーリーはネタバレになるんであまり書きませんが、4時から始まる「コーニー・コリンズ・ショー」を見るために必死になって学校から自宅テレビ前にダッシュする姿や、街の子どもたちがお店のテレビで番組を見ている姿を見て「4時ですよーだ」を思い出した私。「おぉ!」と思った人は、30代以上の関西人ですね(笑)

衣装もヘアスタイルも60年代だから、とっても見ていて楽しかった。
なんとなく60年代って、カラフルな時代だったのかなって思う。
ミス・ヘアスプレー・コンテストのシーンは圧巻でした。
とってもハッピーなんだけど、何かが私の琴線に触れたようで、見ていて涙が止まりませんでした。トレーシーがキュートじゃなくって、キレイなんですよ。

ただ、楽しいだけじゃなくて、問題提起もしています。
皆と同じではなく、違うことが素晴らしい。
白人の価値観が全てじゃない。
差別は、そのうち消えていくものだと思っていたけど、闘わなきゃいけないんだ、というトレーシーのセリフが印象的でした。
実際、人種差別って21世紀の今も残ってます。公ではないけれど目に見えない壁があって、ミックスではなく、肌の色で分けられている感はありますものね。だからこそ、この映画は古くさくないんだと思います。
パンフレットの中で、出演者のミシェル・ファイファー
「将来いつか、この映画が古くさく感じられる日が来ることを願っているわ」
と寄せているのですが、本当にそう願います。

他にも、ハッとさせられるセリフがたくさんあります。
興味のある方はぜひ劇場でご覧ください。