愛の流刑地

TOHOシネマ泉北にて「愛の流刑地」を観てきました。
ホントは「マリー・アントワネット」を観たかったのだけど、シャトルバスの時間の都合、「愛の流刑地」に変更。これはこれで観てみたかったし。


原作は読んだことないけど、過激という噂は聞いていたし、映画の大半がヌードだとか濃厚なセックスシーンだ、などという話題でいっぱいだったから、どこか身構えていたかもしれない。
見終わった後、しみじみとした何ともいえない余韻が残る映画だった。
その辺りは平井堅の主題歌が秀逸で、映画に華を添えていたと思う。
原作を知らないことが幸いしたのかもしれない。

「あなたは死にたくなるほど人を愛したことがあるんですか!」
法廷でのトヨエツの叫びに思わず息をのんでしまいました。
未婚で青臭いワタクシですが、ヒロインの冬香の死に方は幸せだったんじゃないかと。
日常をかなぐり捨てた「非・日常」
なんとなくそんな言葉が浮かんできました。
「キレイだけど浮世離れした何か」・・そんなイメージ。


キャストがとても良かったと思います。
演じる人が違えば、言葉は悪いけど汚れた映画になったのではないかと。
一番はやっぱり主演の寺島しのぶ
青くて固くて花が開くなんて到底思えないようなところから、少しずつゆるみふくらみ、色づいて開花し大輪の花を咲かせる感じや見た目から情熱的なのではなく、内に秘めた熱さを感じさせられてうなってしまった。

長谷川京子が演じる検事もなかなか良かったのだけど、あの洋服の露出度の高さには何となく違和感を覚えた。エリートぶってるところから、冬香の気持ちを理解してしまったくだりはとっても良かったのですけどね。

貫地谷しほりちゃんが最近のお気に入りなのですが、彼女が殺人を犯した父親に対して見せる言動や心模様が健気で泣けました。

女性陣ばかり書いてしまいましたが、主演のトヨエツも良かったですよ。
殺してしまうまで熱いだけで周りが見えない状態だったのが裁判が進む中で気持ちの揺れも持ちつつ、冬香への思いを新たにしていく様、裁判での最後の陳述はとてもしみじみしました。

それから、花火のシーンや紅葉、木の緑とか、画がキレイでしたね。
雨の日という設定が多くて、雨音も情緒を揺さぶられるというか。
きっと、原作を読んだ人と読んでない人では見方もかなり分かれるのではないかと思っているのですが、美しい映画だと思いました。