恋の罪

久しぶりにシネコンじゃない映画館で映画を観ました。
恋の罪
タイトルで、恋愛映画かと思うかもですが、この映画は取り扱い注意です。

水野美紀がフルヌードで濡れ場を披露した、とか、そういうので見に行ったら後悔します、多分。
東電OL殺人事件からインスパイアされたストーリーで、猟奇的です。

「昼間は淑女のように、夜は娼婦のように」
ということわざ?がありますが、「ように」じゃなくて、まさにその話です。
殺人課の女刑事、人気作家の妻、大学助教授、三人のヒロインは、昼と夜、二つの顔を持った女たち。

皆、心に闇の部分を持っている。
「陰がある人ねって言われているうちはまだいい。闇はもっと深いから」
だったかな。そうか、、その通りかも。

田村隆一の「帰郷」という詩の一部が何度も何度も出てきます。
テーマの一つでもあります。

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる

「涙」という言葉がなければ、涙は目から出てくる水にすぎない。
目から出てきた水に対して「涙」という名前がついたことで、「涙」の意味を知り、涙が出てくる理由にとらわれることになる。

言葉、つまり、名前がつくことでその対象に意味が与えられる。
言葉がなければ、存在していても認識されることはない。
ふと、フェミニズムの「名前のない問題」を思い出しました。
名前がつけられ、言語化されていくことで可視化されていく。

三人のヒロインは、文字通り「身体」を張って、自分であろうとしている。
売春が良い、悪い、じゃなくて、そこに至るまでの根底にある確執たち。
一筋縄ではいかない、いろんなものが絡み合って起こった悲劇について描かれているのですが、いろんなことを考えてしまった。

とりあえず、デートムービーではありません。
でも、女子には観てもらいたい映画かも。
単純に面白いと思うかもしれないし、なにやら考えさせられるかもしれないし、気持ち悪い、理解できない、で終わるかもしれない。
ただ、グロいのが苦手な人は避けた方がよいですね。