キャリアの行き先

会社のメンバーが二人、最終日を迎えた。
彼女の引き継ぎで入った人が、「自分には無理」と言ったそうで、当初から辞める予定だった人とその引き継ぎになるはずだった人の二人が同じ日に辞めるという皮肉なことになった。

マネージャ候補として1年前に入社してきて、年齢が一番若かったけど1年しかもたなかったな。
辞める理由は聞いてないけど、いろいろあるらしい。
仕事に慣れつつある頃、
「とにかくいろんなことを吸収したいんです!」
と相談されて、私もエラくなったもんだなぁ、と思いながらプロジェクトの進め方だの管理だの、少し話をしたことがあって、その時、私の最初の頃の情熱をすっかり失ってしまっていたことに気付いたのだった。

最初の1年なんて、仕事を覚えるのに精一杯だった。
1年やってみて初めて仕事がどう流れるのかが分かり、それを踏まえて2年目以降、自分はどうしていくのか、なんじゃないかと思ったのだけど、辞めたいという話を聞いていたのならともかく、辞めると決まってから聞いたのだから、今さら、引き留めたりなんかはしない。

頭の回転がとても速い子だったので、新人ながらもプロジェクトの進め方などで、あまりよろしくないところを見つけてはなんとかできまいか、と思っていたのだけど、私たちは、お客様から依頼されたプロジェクトの一端を担っているので、「これ、なんとかしたい」と思っても、いきなり変えることはできない。
ずっとやってきた人にとっては、ルーティンでいいじゃないって方法を変えることの方を面倒くさがったりするし。変えようと思ったら、エネルギー必要だもんね。そんなことも彼女のストレスになったりやる気をそがれたりした
一つの理由だったように思う。

「最初の1年は仕事の流れを知るだけで終わるから、本当の意味での仕事は2年目から」
私が今の会社に入った時、上司はそんな風に言ってくれた。
その時は、なんとなく意味がよく分かってなかったけど、今となっては、まったくその通りであるなと思う。
同じようなことを彼女も自分のチームの人たちから聞いたかもしれないし聞かなかったかもしれない。

私のチームの仕事の案件によっては手伝ってもらっているオペレーターさんが、これからはコーディネーターの仕事もやるのでちょっと不安だ、なんて話をしていた。
私より一つ年上で、デザインの仕事やらオペレーターとしてずっとやってきたのだけど、これからも仕事をしていこうと思ったらコーディネーターの仕事もしていかないといけないな、と一念発起してやってみようと思って転職してきたらしい。
彼女は職人さんみたいな仕事をするので、コーディネーターなぁ。。
と、話を聞いて思わないでもなかったけど、それは彼女の決めたこと。

前に自分のチームの新人ちゃんが一人辞めた時も、同じ英語を扱う仕事なら大丈夫、役立つかも、と思っていても、適正もあるし分野が違えばかなり苦しい。
かと思えば、この子で大丈夫かなぁ?と思った、もう一人の新人ちゃんは、予想に反してかなり仕事ができるようになり、まだ海のものとも山のものともつかぬ状態ではあるけれど、もっともっと伸びていってくれたらなぁ、と思いながら、仕事を割り振っている。
(余談だけど、少し前に、しゃちょーが新人ちゃんを採用した時、他に業務経験のある人がいて、本来的には確実にそちらの人を採用するべきだったのだけど、なんとなく直観で件の新人ちゃんが私のチームに合うような気がして、業務経験はおろか会社勤めの経験もない新人ちゃんを採用したんだという話を聞いて、今となれば、しゃちょーの直観は正しかったと思う。彼女が来た当初は、新人ちゃんが我々とはあまりにもカラーが違いすぎてどう扱ったらいいんだろう。。と思ったものだけど、それは今となれば、
笑い話である。)

そして私も、もう一つ頭を出そうと思ったら、どうしたらいいのだろう、と考えている。
ずっと今の会社にいるとは到底思わないけれど、成せることは成し遂げて次に行きたいと思うのだ。