私信

Mさん、時間が過ぎるのは速いもので、
私が前の会社を辞めてからもう少しで1年半になります。
Mさんも会社を辞めて、そろそろ1年になる頃ですか。

会社を辞める時、
「しばらく休養したい」
と言って、特に次の仕事が決まった訳でもないけど
辞めたそうですね。

Mさんが会社を辞めたという話を聞いた時、

あんなに私が辞めようとするのを引き留めようとしていたのに、
自分もあっさり会社を辞めたなんて、
もし私がMさんの引き留めに応じて会社に残っていたらバカをみたわ


と思ったのですが、その後すぐ、私が会社を辞めようとしていた時、
すでにMさんも会社を辞めようと転職の準備をしておられたことに気づきました。

あの頃は、私自身が転職することに必死になっていて、
気づかなかったけど、
「私、最近TOEICの勉強を始めたのだけど、EmmeryさんはTOEICの勉強ってどうしてるの?」
って仕事の合間に尋ねてきた時、すでに辞める心づもりだったのですね。

私が契約更新をしないと言い出したことで、
Mさんとグループ長と三者面談をすることになった時、

「これまで30歳になるといっても、1歳いつも通り歳をとるだけで大したことないって思っていたけど、実際に30歳が目の前になったら、このままじゃヤバイって思うようになったんです。」

って、私は言いました。
グループ長は、私のセリフを聞いて
「じゃー、俺、今32歳やけど、ヤバイんか?」
なんて言ってましたよね。

私は「そういう意味じゃなくって。。」
と言葉をにごしながら、心の中でグループ長に対して

「アンタは正社員だけど、私はただの契約社員。それも契約社員とは名ばかりで長期アルバイトで、しかも役なしなんやから、全然立場が違うっちゅうねん」
と怒ってました。そして、Mさんに向かって

「あなたは私より若いけど、数年もしたら、
あなたも今の私と同じように30歳を迎えようとする。
そしたらあなたにも今の私みたいに
『今のままじゃヤバイ
って思うって。
今の私の気持ちも分かるようになるって、
だから、転職したいって事、分かってよ。」


と心の中で訴えてた。

Mさんに対するその時の私の心の訴えは浅はかだったと今、思います。
仕事に疲れていたのか、
私と同じように、このままではヤバイと思っていたのか
分からないけど、だって、Mさん、
あなたはあの時すでに辞める準備を始めていたのですものね。

でも、辞めようと思っていたあなたが、立場上、
私を引き留めるために言ったセリフはどうなのよ?
って思ったりもしてます。
英語を使う仕事をしたい、と言った私に、
通訳をしている友達のことをあげて、英語を使う仕事をしたら必ずハッピーになる訳ではない、
みたいなことを言っておきながら、
自分も英語を武器にして転職の準備をしていたなんてね。
これも、私が辞めてからほどなくMさんも辞めたと聞いて、感じたことなのでMさんを責めている訳ではありません。

自分のことに精一杯で、上司とはいえ、年下のあなたに
「今の私と同じ年齢になったら、あなたにも私の今の気持ちが分かるようになるわよ」
みたいな言動をとってしまったことを恥ずかしく思います。

私の進退を話し合う場で、TOEICの勉強方法について二人で盛り上がったりしましたよね。
あの頃は私の方がスコアは上だったけど、
その後、抜かれちゃったりしたのでしょうか。
私よりスコアが低いとはいえ、一般的には非常に良いスコアだったから、多分、英語を活かせるような仕事を選ばれたのではないかと思います。

これは、私が「翻訳会社で働きたい」という自分の夢を叶えたから言える傲慢なのかもしれないけど、
Mさんが納得して働ける場所にいてはったら良いなぁって
心底思ってます。

職場の仲間達は変わらないけど、職場の雰囲気や職場そのものが1年ちょっとで大きく変わったと聞きました。
もう、過去に感傷的な思いを抱くのは止め、
自分の信じる道を進んでいこうと思います。

Mさん、もし、今度どこかで会うことがあれば、
もう上司も部下もなく、同じ女性同士として話したいですね。
「英語を使う仕事に就くこと」をネタに、ね?