宮沢賢治記念館

花巻空港の近くに宮沢賢治記念館があります。
飛行機出発までの時間つぶしにちょうど良いんじゃないか、と、立ち寄ったのですが、これがまた、とても素敵な場所でした。
他にもイーハトーブ館など、いくつも記念館があって、もっとゆっくり見る時間を作れるように来たら良かったね、というのが皆の感想でした。

宮沢賢治の愛用品、原稿など賢治ゆかりのものが展示されている他、賢治をめぐるその環境、信仰、科学、芸術、農村、などの資料もいっぱいあります。あの独特の世界観のバックグラウンドを垣間見ることができたような気がしました。
あまり子ども向けじゃないですね。

大学時代に敬愛した先輩が宮沢賢治を崇拝しておられた為、私も影響を受けて宮沢賢治は読んでおりました。
銀河鉄道の夜」は、劇団で公演したこともありましたので、格別の思いがあります。
きっと、宮沢賢治について、先輩からはたくさん話を聞いたと思う。
当時の私には「そこまでのめり込めるものか。」といった、
どちらかというと驚きみたいな印象で、話そのものは理解できてなかった。
それでも、この人がこんな風に傾倒しているものならば、
と思って、読んでみたのだった。
だからといって、話が分かるようになったかというと、
そんなことはなく、影響されて、ただ読んだだけの人。
この記念館に来てみて、その世界の広さ、深さに感銘を受け、
今だったら先輩の話も理解できるだろうか?と、思ったのだった。

f:id:Emmery:20070716170519j:plain


外の庭がこれがまた素敵なのです。
「下ノ畑ニ居リマス」
なんて、本当に宮沢賢治が出てきそう。
そんなことを言いながら階段を下っていきますと、宮沢賢治が設計した「南斜花壇」と「日時計花壇」があります。

もう、写真撮りまくりたい衝動にかられる場所でしたが、ゆっくりと自然を堪能しました。フクロウのランプとか、フォトジェニックなものが多かったです。
庭は時間制限がありませんので、のんびりと楽しめました。緑豊かで、本当に気持ちの良い場所でした。ベンチに寝ころんで空を見上げながら、ふと、先輩はここに来られたのだろうか?などと思っていました。

私が宮沢賢治の話の中で一番好きなのは「銀河鉄道の夜」。
その中でも、ジョバンニと女の子が神さまのことで言い争いになった時に出てくる
「たったひとりのほんとうの神さま」という言葉が一番好き。
ジョバンニの語りは、私の宗教観と同じ。
そうそう、そう言いたいのって思う。

「だっておっ母さんも行ってらっしゃるしそれに神さまがおっしゃるんだわ。」
「そんな神さまうその神さまだい。」
「あなたの神さまうその神さまよ。」
「そうじゃないよ。」
「あなたの神さまってどんな神さまですか」
青年は笑いながらいいました。
「ぼくほんとうはよく知りません。けれどもそんなんでなしにほんとうのたった
1人の神さまです。」
「ほんとうの神さまはもちろんたった一人です。」
「ああ、そんなんでなしにたったひとりのほんとうのほんとうの神さまです。」


神さまの見え方が人それぞれ違うだけなのに、
自分の見方は正しくて、他の人のは正しくない、
などと争っているのは、無意味なことよ。。