リスク・アセスメント

取扱説明書などを制作する、いわゆる「マニュアル業界」に身をおいている。
制作をしていると、常に「納期」というものに左右される。
翻訳からDTP、印刷までして完パケでの納品が最近多くなってきて、
クライアントとの間の納期だけでなく、
印刷会社との間の納期とか、いろんな納期が絡んでくるようになった。
これは、ちょうどお盆で休みに入る会社が多いゆえ、
通常以上にスケジュール管理が難しい今日この頃の出来事。

8月末リリースで制作を進めていたカタログがあった。
そもそもがゆとりのないスケジュールだったので、
常に方々へのネゴを怠りないようにしてきた。
そこに客先校正が遅れる連絡がきた。
最初は1日遅れるとあり、翌日にはもう1日とじわじわと迫ってきた。
そして、遂に8月末リリースに間に合うかどうかの瀬戸際。
担当者は、急いで制作して失敗作を作るよりも、
内容をかためたいようなのだが、いかんせん、
クライアントの社内事情もある。
8月末にリリースするには今日、校正原稿をもらって、
明日の午後イチくらいには校了していただかなくては間に合わない。
夕方には原稿をもらえると聞いていたのに、届かない。
担当者には何度も連絡してるのにつかまらない。

18時まわった時点で、
もう、クライアントは8月リリースはあきらめてたのだろう、
という楽観的予測をする。

そこにDTP担当者がやってきて、校正原稿未着であることと、
8月末リリースの予定変更の連絡もないことを知ると、
リリースは9月にずれこむと楽観的予測を決め込んでいる私に対し、

クライアントからそのような連絡がこない限り、
8月末のリリースの予定で進めると見越して
最悪のシナリオを想定しておかないといけない、


と迫られ、
ま、そうならないと思うけどなぁー、と思いつつ、
8月末リリースに間に合わせるための最悪のシナリオだけ設定した。

その直後に、待っていたクライアントから電話がかかってきた。
その電話で、8月末リリースでなんとかしてほしい、という依頼があり、まさにさっき用意した「最悪のシナリオ」をやることになった。
いつも楽観視しがちな自分の見通しを反省し、
DTP担当者のリスク・アセスメントを感謝しつつ、
8月末リリースで進めるためのネゴを社内外で片づけ、
DTP担当者に校正原稿を渡す前の段取りを整えて、
さて、明日に備えるか、と思ったところに再度クライアントからの電話。

。。やっぱり、内容を固めてからリリースしたいので
8月末のリリースはあきらめます


あぁっ、さっきまで私がしたネゴは無になってしまった。。
結果として、自分の楽観的予測が当たったとはいえ、
二度手間、三度手間のかかること。
明日、朝イチで8月末リリースが流れたことをお詫びしながら
新しい予定でのネゴのやり直しです。

それでも、完パケされたカタログやマニュアルを見ると、
報われますね。そのために、もうひと頑張り。