八日目の蝉

「<八日目の蝉」をなんばパークスシネマで鑑賞。
原作が好きで、これは絶対に見なくては、と思って。
NHKでドラマにもなってたのを知らなくて、ちょうど先週後半に深夜で再放送していたのを一部見ました。

先週観に行った「プリンセス・トヨトミ」は父と息子の物語なら、こちらは、母と娘の物語。

子どもを誘拐した女・希和子の3年半の逃亡劇と、事件後、大人になった子ども・恵理菜の葛藤を描いた原作はなんとも衝撃的だったのです。
絶対的に誘拐は犯罪なんだけど、そのバックグラウンドと、逃走中の二人を読んでいると、悪と思えなくなってしまう。
母親だと思っていた人が、自分を誘拐した犯人だった、という娘の葛藤。
詳しくは原作を読むなり、映画を見ていただくなり、なんですが、女は子どもを産んで母になるのではなく、産まなくても母になれる、というか、血よりも濃い愛情がある、でも、それが誘拐がきっかけだったのが切ない。

原作では、恵理菜が小豆島に行く船に乗ろうとするシーンで終わるけど、こちらの映画では小豆島に行って、彼女が記憶を取り戻していくシーンがあり、決裂して葛藤していたものがつながっていくプロセスが描かれています。

キャストが素晴らしかったなぁ。特に女性陣。
女優映画とも言えます。
男性は、どうしようもない人ばっかりだしね。
そういう男に惚れてしまった女の責任は、などと言い出したら、この映画は見れなくなってしまいます。
個人的には、小池栄子の役に感情移入しちゃったかも。

最後の方、見ていて涙が止まらなくなっただけじゃなくて、スクリーンの恵理菜と一緒に嗚咽しそうになってしまった。映画は一人で見るのがデフォなので良いのですが、それでも終わって場内が明るくなった時ちょっと恥ずかしかったです。
お涙頂戴系ではないんですけどね。
映画館でここまで涙を流したのは、とっても久しぶりな気がする。

今年は映画を見に行くペースが遅くて、まだ5本目。それにまだ今年は折り返してないけど、今年の別格映画になりそうです。
それにしても今年はたまたまなんだけど、邦画ばっかり見てます。