ミスマッチ

我がチームの新人ちゃんの一人が辞めることになった。
というか、辞めると聞かされた。

上司が「Emmeryさん、ちょっと時間いいかな?」
と手招きするので会議室に行って上司の向かいに座ろうとしたら
「離れて座ったら声が大きくなるから」と隣に座ってきて、
なんだろう。。と思っていたら、新人ちゃんの一人が来月で
辞めることになったと聞かされた。

メディア関係の翻訳をしたいので、その勉強になるかと
うちの会社に入ってきたのだけど限界を感じたらしい。
これまで就いてきた仕事では「できない」と感じたことはなかったけど
今の仕事では「できない」と落ち込んでしまうことが多いのだとか。
確かに、私のチームの仕事は職人仕事みたいなもので、下積み時代が長い。
最低でも2年くらいは余裕でかかる。

初めて「挫折」というものを体験し、自分の年齢(といっても31歳)も
鑑みて、これから成長できるのか焦りもあるらしい。
そこに、自分が本来やりたかったメディア関係の翻訳の話がやってきて
そちらをメインにやっていきたいという思いが強くなったらしい。

「年齢って言っても、私だってこの会社に入ったのは31歳になる歳でしたよ。
それに、・・さん(チームメイト)が入ってきたのは32歳だったから、
まだ焦る年齢じゃないと思うのですけどねぇ。」

私がそう言ったところ、

「前と比べてモチベーションが下がったなって感じてたの。
トライアルをやったの知ってると思うけど、あの結果は、正直、良くなかったの。
もちろん、新人だから出来が悪くて当然なんだけど、彼女自身も難しいって
思ったみたいで、彼女自身の自己評価も悪かったのだと思う。少し前に病気
してたでしょう。あれも精神的プレッシャーの結果やったんやろうね。」
と、上司が言った。

私自身も、彼女のモチベーションが下がっているのには気付いていた。
ある程度成長したら壁にぶつかるものなので、そこからブレークスルーまで
苦しい期間があるのが常だから、気長に見守っていようと思っていた。
病気に関しても、厄年、それも本厄だから、
「自分でも信じられないくらい身体にガタがくる時期だから、くれぐれも
無理はしないようにね。」
とは言っていた。
会社の外でお茶やごはんを食べたりして、話を聞いたりするような機会を
持ったほうが良いのかなぁ、と、思ったりしていたこともあった。

少し気にしていたのは、ばくっと全体をつかむのは上手なのだけど
きちんと隅をつつくことができないというか、ロジカルさに欠ける部分が
彼女にあることだった。
新人だから、という部分もあるのだろうけど、もう一人、後から入った
新人がいるのだけど、彼女と比較すると、できるのだけど、どこか甘くて
スキがある感じ。仕事に精通していくことで解消していけば良いけれど、
ちょっと致命傷かなぁ、と思っていたのも事実。

そんな話から、もう一人の新人ちゃんの話になった。彼女は忙しい時期に
選択の余地無しって感じで、タッチタイピングができるから、みたいなところで
とにかく来てもらうことにして、それも2ヶ月間の期間限定の予定だったのだけど、
辞めてもらう理由もないのでいてもらっている。
うちの会社には到底似合わない様相で、可愛くて、話し方もポワンとしている
女の子で、期間限定やからいいけど、いつまで続くんやろか、なんて思っていた
のだけど、外見とは裏腹にとっても頑張りやさんで、会社勤めをしたことがない
から知らないことが多いだけで、教えたらキチンとできるし、なによりも
ロジカルさを持ち合わせていて、期待してなかったけど、実は彼女の方が
私のチームの仕事をするのに向いてるなぁ、と感じていたのだった。

上司と二人で、「言っちゃ悪いけど、期待してなかったから、
出来の良さにビックリよねぇ。」なんて
愛想尽かされないように、ちゃんと育てていかないとね、と話してた。
忙しい時期だったとか、期間限定の予定だったとか、言い訳にしてはいけない
のだけど、最初にキチンといろいろと教えられなかったのは反省している。
チームメイトたちが、かなりフォローしてくれて、いろんな面で、ぐんぐん
伸びていってるのがとても良く見て取れる。
教えてもらうのもだけど、先輩たちの仕事ぶりをみて盗んでいくのも
一つの知恵。
私も新人の時は、電話で話すのは前職柄大丈夫だったけど、書き言葉
特にビジネス日本語は知らないも同然だったから、上司の書いてるメールを
読んで勉強してたもんなぁ。(あ、今もか。)

新人ちゃんにやってもらった仕事は、必ず誰かがチェックして、
フィードバックを返すようにしているけど、それだけじゃなくて、
自分の仕事ぶりも彼女たちの手本になるように、きちんと話をしたり、
メールを書いたり、作業をしたりしているのを見て、聞いてもらうのも
大切だと思って日々努めております。

思えば、期間限定でやってきて去っていく人はいても、
こんなふうにチームのメンバーが辞めていくのは初めての体験。
マネージャとして、彼女のチカラになってあげれていたのか、
私の力不足があったのでは、とか、いろいろ思ったりするけど、
彼女自身がやりたいと思っている仕事ができる環境が社外で整いつつ
あると知っている以上、引き留める理由もないし、そちらで活躍できるのが
何よりだと思っている。それは、上司も同じように考えている。
ただ、残念なのは残念だけど。

そういや、月曜日に彼女が辞めるアナウンスをするんだったわ。
本人の口から話してもらうか、私が話すのとどちらが良いか
確認しておこうと思っていたのに、忘れとった。。。