あの日

1月17日は忘れたらアカンと思ってる。
あの日は、社会福祉士の模擬試験があるはずやった。
学校まで2時間ちょっとかかったから、朝はいつも5時50分に起きてた。
あの朝、悪夢で目が覚めた。
でも、目が覚めてそれが悪夢でなくて現実であることを知った。
大きな地鳴りを聞こえ、何度も地面が揺れ、
ベッドの中で「この世も終わりか?」と思った。

自分が体験したことがなかったことゆえ、
体験したことの大きさが分からず、
テレビをつける習慣もなかったから、
とりあえず起きて、学校に行く準備をした。
ガスがつなかなくて、お湯が使えなくて不便ね、
と思いながら家を6時半過ぎには出た。
そう、何も知らなかったのだった。
駅に着いて、電車が動いていないことを知って、
やはり何も知らずに駅にいつも通り出てきた人たちと
どうやって学校に行こう?と思ったものだ。
しばらく駅にいて、あきらめて家に帰って、そこでやっと
テレビをつけて神戸の惨状を知ったのだった。
まんじりと家族一同、ただただテレビの画面を見るしかなくて。

神戸に住む友人達の消息がただただ心配で、
でも連絡がとれなくて。
数日後、みんな無事が分かった時の安心。
被災地に行って作業をして大阪に帰ってきた時の落差。

大学生時代最後の冬は、なんとなく足下がふらついたような
状態で過ぎていき、大学を卒業した。
就職活動をせず、進路の決まっていなかった私は、
その後、引きこもり生活に入るのだった。

今でもクリアに何があったか覚えているあの時から10年。
震災特集を読むと、感情までもが当時に戻ってしまう。
風化されない思いが自分の中に残っている。

10年一昔というけど、自分も周りも変わったと思う。
いろんなものを手に入れ、無くし、覚え、忘れ。
でも、1月17日に何があったかは、忘れたらあかんと思ってる。