読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

父登場

私がお盆にあったおじいちゃんの米寿のお祝いの場で荒れた理由は、
書くまでもないが「結婚に対する皆からのプレッシャー」だった。

「いつ結婚するんや? Emmeryの花嫁姿見るまで、わしゃ、死ねん!」
開口一番、常に直球勝負のおじいちゃん。
純粋に、30過ぎても嫁にいかない孫を心配しているだけなのはよく分かってる。

見合い話が来ても会わずに断っていると知って
「とりあえず、会うだけ会ったら良いやんか。会ったら結婚せなアカン、って
訳でもないねんから。出会いのチャンスをつぶさんでも。。」
と、2桁以上の見合いを繰り返した挙げ句、40過ぎで一回り年下の男性と
結婚をした叔母が言う。
とりあえず、彼女も結婚に対するプレッシャーのしんどさは知っているので、
「でもな、ホンマに嫌やったら無理せんでええねんで」
と、こそっと私に言う。

「この人な、(社会に出た)スタートが遅いから、まだそんな気分ちゃうねん。
出会いがどうのこうの、っていう以前の問題やねん。
結婚する気そのものがないねんから。」
と、最近は「赤ちゃんいつ?」のプレッシャーをかけられている
結婚2年目の妹。

お酒がはいって、酔っぱらってないと言いつつ、誰がどう見ても
しっかり酔っぱらってるやないけ、な状態の母が
釣書見せても、『あぁ、この人、なんとか大学、ふーん』って、今、
何をしてるかじゃなくって、出身大学ばっかり見て、ガックリくるわ。
医者や先生みたいに一人で食っていける仕事してる訳じゃないから、
そろそろ身のふりどころを考えてもらわんと。」
と、デカイ声で叔父にぼやく。

。。ここ最近の見合い話で、相手の出身大学を口にして反応したことは
なかったはずなんだが。。
それに、結婚を永久就職みたいな物言いされるのと、私が今やってる仕事は
食ってけない、と決めつけられるのが気にくわない。

皆、私が結婚していない、ということを心配しているだけなのは、
痛いほどよく分かっている。
30歳過ぎても未婚だと、見ていて居たたまれないらしい。
結婚してなければ、仕事をしていても一人前と認めてもらえないらしい。
他にもいろんな意味で、未婚であること、結婚したがっていないことで、
私を否定されるようなことが続いて、私は耐えられなくなったのだ。
いつものように「30代未婚は罪か?」と憤る元気もなく、
私は自分で自分を支えることができなくなってしまったのだった。

それが、お盆の晩のいきさつだ。

私の会社はお盆休みがないので、今日も通常通り出社していたが、
父は休みで家にいたところ、母から、
娘が30過ぎても結婚しないことに対してどう考えているのか?
あまりにも無関心すぎる、
と責められて、ケンカになったらしい。
ちゃんと娘と結婚のことや今後のことについて話し合うから。。
ということで母に納得してもらったらしい。
そして、先ほど私のところに1通の封筒を持ってやってきた。
封筒の中身は、釣書だ。中身は知っていたから、父が話す前から
「あー、分かった、分かった。会ったらええんやろ、会ったら。
最近、ずっと断り続けたから、そろそろ会っとかなマズイもんな。
とりあえず、会うから。言わんでも分かってるって。」
と、先手を打つ。

おじいちゃんのお祝いの席に出かける前に、母から
「アンタがフツーの人が良いって言うから、フツーの人を紹介してもらった」
と、新たな釣書を渡されてたのだ。一応、釣書と写真を見たけど、
「独立して自分で塾を開いている人がフツーの人か。。。」
という感想と、ここ最近、次々と届く見合い話を、ことごとく断ってきたので、
「そろそろ一人くらい会っておかないとマズイだろう」
程度の気持ちしかなかった。
母が「どうするの?」と言ってこなかったので、その場は
眉間にシワを寄せたまま封を開けて中を見て、そのまま戻しておしまい、だった。
当然、それで終わるとは私も思っていなかったけど、父が持ってくるとはね。

父が、「なんや、もう知ってたんか?」と言うので、
「知ってたよ」と言うと、
「じゃ、この話は断っておくから」と父。
「そろそろ会っとかなマズイんでしょ?」
「いや、断っても特に問題のない所の紹介やから、無理しなくていい」

そこで、母とケンカになったこと、そこで私と結婚や今後のことについて
話し合う約束になったことなどを聞かされた。
とりあえず、今日は母も寝てるし、明日は父が母と顔を会わせることもない
くらい早く家を出るので、話し合いの結果、今回の見合いは見送ることする、
という結論に至った、ということにしておくから、と父は言った。
父も、素面では言いにくかったんだろう。ずいぶんと呑んでいた。

「結婚、どないするつもりやねん、と尋ねて即答できないと思うから、
しばらく考えといて。今月中とか来月頭くらいまでに。それで話、しよ」
と言って、父は出て行った。

「30歳過ぎて未婚、かつ、結婚願望無」は、異常事態であるらしい。
でも、私には分からない。
なんでそれが受け入れがたいものなのか。

そして、私にはできない。
周りを安心させるために結婚をしたがってるポーズをとることも、
結婚する気なくても見合いをしてみることも。