仮の人生?!

遙洋子の「結婚しません」を読んでいて心に刺さったこと。
彼女いわく、

結婚が「予定」だとすれば、現在のすべては準備段階にあって、
私は仮に生きていることになる。
−恐怖が襲った。もし、永遠に「予定」が実現しなければ、
私は仮の人生を生き続けることになるじゃないか!


いつかは結婚するだろう、と私も思っている。
両親は特にそう思い、その日が1日でも早く来ることを祈っているだろう。

実家を建て替えた時、私は20歳だった。
無邪気に
「新しい家に10年も住むのかなぁ?」
と言ったら
「10年もおられたら困る」
と母は怒った。
その頃から、結婚したらどうのこうの、というのが始まった。いわゆる花嫁修業というものもやった。
結婚して料理も満足に作れなかったら困る、と料理を習ったり、お作法を少しは知っておかないと、とお茶を習ったり。

両方とも嫌いじゃなくて、むしろ好きだけど、結婚のため、
というようなのがイヤだった。
大学を出ようとする頃から、きっちり働くことよりも結婚することの方が良いことのようになって、私は戸惑った。

「『結婚して』家を出て行け」
という圧力。
結婚していなければ、お前の人生は仮のものだ、と。
生まれ育った家でさえ、仮住まいでしかないのだ、と。

理不尽な、と思いつつ、

それって、何かおかしくないかー?!

と、心の中でしか叫べない、情けない私。

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遙洋子 『結婚しません』 講談社 2000年