ニューヨーク・ニューヨーク

NHKの「英語でしゃべらナイト」で「ニューヨークで新しい自分に目覚めた女性ゲスト」の特集が放送された。
これまでに放送されたシーンからニューヨークを目指した女性アーティストたちのトーク特集だ。

ニューヨークに憧れ、ニューヨークを目指す人たちは多いだろう。
でも、私にとって、ニューヨークは怖いところで、目指すなんてとんでもない所だった。

アメリカで生活していた時に初めて一人でアメリカ横断旅行を計画した時、ニューヨークは飛ばそうと思ったくらい怖かった。でも、友達の友達(日本人)がニューヨークに住んでいて、彼女が電話でしか話をしたことない私に

「ニューヨークに来るなら私の所に泊まりなよ」

誘ってくれたので訪れることにしたのだった。

普通、人を自宅に呼んだらどこかまで迎えに来てくれても良いような気がするけど、彼女はそんなことをする人ではなかった。
初めてのニューヨークは、ワシントンD.C.からAmtrakで移動して入った。
住所と行き方だけ教えてくれて、心細い思いをしながらカバンを下げて地下鉄で彼女の住む家まで向かったのが、とてつもなく懐かしい。

「一人でニューヨークは怖くて歩けない、
観光バスみたいなものに乗って観光する」


などと私が情けないことを言ったら、

「そんなー、お金がもったいない」

と公共バスと徒歩でマンハッタンの北から南まで案内してくれた。
アメリカで生活して1年以上経って、サンフランシスコは怖くないにの、どうしてニューヨークが怖かったのだろう、と自分でもおかしくなるくらい、ニューヨークも自分と同じ人間が住む街だと知った。彼女と一緒にマンハッタンの隅々を自力で観光しながら移動し、私は街の歩き方を学んだ。
彼女は最初の2日ほどは私に付き合っていろいろと連れて歩いてくれたけど、それ以降は、勝手に出かけてね、と放っておかれたこともあり、自分で出歩くようになった。

自分の足で歩き、見る実際のニューヨークは、知れば知るほどとってもエキサイティングな場所だった。
美術館もたくさんあって、しかも他の都市とは比較にならないくらい有名なものばかりが展示されている。一緒にMOMAニューヨーク近代美術館)に行った時、彼女が美術史専門だったのもあって、アートを見ながらいろんな話をしてくれて、アートのおもしろさに目覚めたがニューヨークだった。
街の楽しさに遊び回っているうちに、気づいたら彼女に家に2週間も居候していた。

遊ぶならニューヨークやなぁ!って思うくらい、
ニューヨークの印象は変わったけど、住みたいとはやっぱり思わなかった。
私にとってニューヨークは、住むにはテンションが高すぎた。
サンフランシスコ・ベイエリアのこじんまりした所や、からりと晴れた青い空の方が性にあってたらしい。
サンフランシスコとニューヨークって、大阪と東京みたいなところもあるしね。
もちろん、サンフランシスコが大阪でニューヨークが東京。
大阪育ちだから、サンフランシスコの方がしっくりくるのかも。

そんなことを思いつつも、女性ゲストたちと同じように、ニューヨークで自分の中の変化が起こったことは事実。
あの時、ニューヨークで彼女に会っていなかったら、私のアメリカ生活はもっと消極的なものになっていただろう。
やっぱりニューヨークはMagical cityに違いない。

もう少しであの事件から3回目の9.11がまた巡ってきます。
彼女に連れて行ってもらったWTCが襲撃されたなんて信じられなかったけど、二度と同じようなことが繰り返されないように、世界のあちこちで争いごとが絶えないこんなご時世、心から世界の平安を祈ります。