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件のお見合いのこと。その2

お見合い

前回に引き続き、お見合いの話です。
「とにかく終わった」と気を取り直して夕食の席についた時、電話がかかってきた。それは本日の仲人からの電話だった。

普段、私が直接仲人と本日の結果について話すことはないけど、直接話したいと言われたので電話に出たところ、二人になってからどうだったかということを尋ねられ、それはまるで事情聴取だった。こんなことは前代未聞である。

大阪駅の近くでさっさと帰られてしまった話をすると、
「新大阪まで見送らなかったの?別れる前に大阪までお見送りするようにと伝えようと思っていて忘れたのが失敗だった」
と仲人が言った。
私はそれを聞いて憮然とした。
相手のことを気に入ってたら、そんなこと言われなくてもやってた。
当日はいたって「気が利かない女」をやったけど、本来はそうじゃない。
彼氏と遠距離になった時、出張で大阪に前泊で来ると聞いたら新大阪の駅まで迎えに行って、新大阪から宿泊先のホテルまで夕食経由で送ったり、東京に帰る前に新大阪の駅で待ち合わせをして新幹線に乗る前のほんの30分ほどお茶をしたり、そうやって少しでも会えるチャンスがあれば会う努力をしてきたんだもの。会いたい気持ちがあれば、少しでも一緒に過ごせる時間を持ちたいと思えば何を差し置いても私は駆けつけてた。
だって、会いたかったから。そんなの当然だった。新大阪の駅まで送るくらい朝メシ前さ。その気があれば、ね。
私にその気がなかっただけ。

とにかく断りたい私は、話が盛り上がらなかったとか、すぐに帰ってしまったことなどから
「先方さんは私のことをお気に召さなかったと思います。私もあんなに話がないとちょっと。。。」
と言葉を濁してお断りをほのめかしたのだけど
「初対面でペラペラしゃべる男性はいませんよ。あなたがとってもお綺麗だったから緊張されて話せなかったんですよ。1回じゃ分かりません。おつきあいなさったらどうです。」
と、あくまで強気。
私が何とか断ろうとしているのを聞きつけた母が遠くから
「先方さんが良いとおっしゃるなら!(と言いなさい)」
とデカイ声を出すので、目の前が暗くなる思いで
「先方さんが私で良いとおっしゃるのなら・・・」
と伝えた。

仲人は、向こうの家柄が良いことを強調し
「あなたのおうちの邪魔にならない家柄を選ぶことが大切です。言ってる意味が分かるでしょう?何が大事かよく考えることです。」
と私を諭した。
諭されれば諭されるほど、私の顔から血の気がひいていくようだった。
家父長制の元で、私は家のプロパティでしかない。
確かに、自分のクラスを守るため親の勧める見合いで同じクラス、もしくは少し上のクラスの人と結婚するものだと信じて実行した人たちが身近にいる。
私は本人が望むならそれはそれで否定されるものではないと思っている。
しかしながら、それを私に押しつけないでくれないか?
まずクラスを大切にすること。情なんて後からついてくるなんて、言わないでくれ。

かいつまんでしか書いていないけれど、
「なんですって?!」
と、思わず我が耳を疑うようなことをたくさんたくさん言われて、電話を切った時、握っていた電話の子機を床に投げつけて壊してしまいたい衝動でいっぱいだった。
怒りというのか何というのか、激情にかられていた。でも、それを一気に押し殺して平静を装って家族の食卓に戻った。
結局、これが一番精神的によろしくなかったんである。
Annexにも時々書いてるけど、感情を押し殺して良いことなんて一つもない。

後は「どうか先方が断ってくれますように」と祈ることしかできなかった。
先方も「相手(私)さえ良ければ」という答えだったと連絡がきた。
私はそれを聞いて心の中で「優柔不断なヤツ!」と吐き捨てた。

どこにもやり場のない感情を抱えて、何を伝えたいのか分からないセクシャリティ放談を延々と書いていたのはこの時期である。
家柄だのなんだのとふりかざされ、断りたいのに断ることもできず、とにかく身悶えしたくなる苦しさだった。
そうこうしているうち、見合いだからと嫌がっている自分が間違っているような、自分の中にある真実の目が曇ってしまったような、本来の私が失われてしまったような混乱の時期に入っていく。。